社交ダンスで「上手い人」と聞くと、姿勢がきれいな人、動きが速い人、難しいステップをたくさん知っている人を思い浮かべるかもしれません。

もちろん、それらも社交ダンスの大切な要素です。ただ、僕はそれだけでは「上手い」とは言えないと思っています。

社交ダンスは、一人で完結するものではありません。目の前にいる相手と一緒に踊るものだからです。

社交ダンスの上手さは、自分だけでは決まらない

例えばゴルフなら、自分がいい球を打てたか、狙った場所へ飛ばせたかを、自分の中で評価できます。

でも社交ダンスには、必ず相手がいます。ここを忘れてしまうと、少しおかしなことになってきます。

教習所で車の運転を習う場面を考えると、分かりやすいかもしれません。

アクセルを踏める。ブレーキを踏める。ハンドルをものすごい速さで回せる。道もたくさん知っている。

だから「自分は運転が上手い」とは、なりませんよね。

助手席に乗った人がずっと手すりを握って、「怖い、怖い」と言っていたら、おそらくその運転は上手いとは言えないと思います。(笑)

社交ダンスも同じです。

自分では格好よく踊っているつもりでも、スピードがあって、たくさんのステップを知っていても、相手は「この人とは踊りにくいな」と感じているかもしれません。

では、自分の評価と相手の評価、どちらが大事なのでしょうか。

僕は、社交ダンスの場合は相手だと思います。何しろ、相手と踊るものですから。

ステップを覚えることは、ゴールではない

初心者の方は、まずステップを覚えようとします。それは当然のことです。僕たちも、最初はステップをお教えします。

ただし、ステップを覚えることがゴールではありません。ステップは、相手と一緒に踊るための道具のようなものです。

車の運転でいえば、アクセルはここ、ブレーキはここ、ハンドルはこう使う、と最初に覚えるのと同じです。

しかし、それを覚えたからといって、すぐに運転が上手いわけではありません。周りを見て、同乗している人も安心して乗れて、目的地まできちんと行ける。そこまで含めて運転ですよね。

社交ダンスも、自分がステップを正しく踏めるかだけではなく、相手が今どう動いているのか、この人はどのくらい踊れるのか、速いほうがいいのか、ゆっくりのほうがいいのかまで含めて踊るものだと思います。

「この人と踊ると気持ちいい」と思ってもらえるか

僕が考える、社交ダンスの上手い人になる唯一の方法は、自分で「上手くなった」と決めないことです。

いいか悪いかは、相手が決める。

「この人と踊ると気持ちいい」

「安心して踊れる」

「また踊りたい」

相手にそう思ってもらえるなら、その人はかなり上手いのではないでしょうか。

反対に、どれだけ難しいステップを知っていても、どれだけ速く動けても、相手が「もういいです」と思っていたら、少し考えたほうがいいですよね。(笑)

もちろん、自分が楽しいことも大切です。自分を犠牲にして、相手に尽くしましょうという話ではありません。

ただ、「自分はちゃんと踊った」「自分は間違えていない」「自分は難しいことができる」というところだけで終わってしまったら、それは社交ダンスとしてどうなのかなと思うのです。

初心者は、まず簡単なことから始めればいい

これから社交ダンスを始める方は、最初から難しいことをたくさん覚えなければいけない、と思わなくて大丈夫です。

まずは簡単なことから始めて、少しずつ、自分がどう踊るかだけではなく、一緒に踊っている人がどう感じているのかにも目を向けていきましょう。

そこまで見られるようになってくると、社交ダンスはもっと面白くなると思います。

上手いかどうかは、自分で決めるものではありません。いいか悪いかは、相手が決める。

僕はこれが、社交ダンスの面白いところだと思っています。

山岡ダンススクールでは、初心者の方にも、ステップを覚えるだけでなく、相手と一緒に踊る楽しさを感じてもらえるレッスンを大切にしています。