社交ダンス初心者に向かないのは、運動神経やリズム感がない人ではありません。僕が大切だと思うのは、踊る前から相手のことを考えられるかどうかです。

ステップをまだ覚えていなくても、相手を見て、相手を大切にしようとする気持ちは今日から持てます。社交ダンスは二人で踊るものだからこそ、技術だけでなく相手への思いやりが大切です。

約束の先には、準備している人がいる

僕は「行けたら行きます」という返事がどうも苦手です。飲み会なら、幹事さんがお店を予約し、お店も人数に合わせて材料や料理を準備します。あとから「やっぱり行けません」となれば、困る人がいるんですよね。

僕が参加している勉強会でも、お昼のお弁当を人数に合わせて用意してくれます。それが当日来ない人の分、余ってしまうことがあるんです。僕がもらって帰ることもありますが(笑)、せっかく作ってくれた人に失礼だなと感じます。自分が行かないだけで済む話ではなく、相手の準備や時間にも関わっています。

もちろん、急に熱が出たなど、自分ではどうにもできない事情を責めたいわけではありません。気になるのは、自分で入れた別の用事のために、先に決めた約束を簡単に変えてしまうことです。小さなことでも、相手への配慮があるかどうかは表れると思います。

社交ダンスは、ステップの数より相手との踊り方

僕は、人には「自分に矢印が向いている人」と「相手に矢印が向いている人」がいると思っています。自分がどうしたいか、得をするか、面倒ではないか。そればかり考えていると、気づかないうちに相手からの信頼を失ってしまいます。

その違いは、社交ダンスにもはっきり出ます。二人で踊る以上、相手に「この人となら踊れる」と思ってもらうことが大切です。相手が怖い、嫌だと感じているのに、ステップを増やしたり、強く動かしたりしても、うまく伝わりません。相手を振り回しているのに、自分では上手に踊っていると思っていたら、それは勘違いです。

ステップをたくさん覚えることと、相手と上手に踊ることは同じではありません。技術は、自分を格好よく見せるためだけでなく、相手を大切にするために身につけるものだと僕は考えています。

先生の踊りを見て知った、本当の技術

学生時代、僕は競技ダンスをしていました。その後、スタジオで先生に習ったとき、大きな衝撃を受けたんです。僕は相手と一緒にステップを覚えて、その通りに動いていただけでした。でも先生は、あらかじめ決めていないステップでも、相手を自然にリードして踊っていました。

「これが本当の技術なんだ」と思いました。言葉も、五十音を覚えて滑舌よく話すだけでは、思いが伝わらなければ意味がありません。相手に伝えるために使うものです。社交ダンスの技術も同じで、相手に伝わり、相手と踊るためにあります。

初心者でも、相手を思うことから始められる

社交ダンスに向かないのは、下手な人ではありません。相手のことを考えようとしない人です。初心者で、まだステップができなくても、相手を見て、その人のことを考えることはできます。

相手を大切にしたいと思える人なら、何歳からでも、初心者からでも社交ダンスを始められます。僕は、そういう方と一緒に踊りたいと思っています。